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著者歴全 僕について語る時に僕が語ること(4) [『優等生』あれこれ]




 私は孤独ではなく不安でした。
 言葉を持っている、ヒトはけしてひとりにはなれないことに気付きました。しかしまた、言葉は孤独の意識を生みだすこと、それらは同じことだと気付きました。

 私は喋ることをもう一度始めました。喋りたかったからです。もうけしてひとりになれない、という言葉のルールを、私は受け入れることにしました。
 喋る気にならないのなら、喋らなくてもよいのだと、よく思いました。私の自由です。それでも喋らずにいられないことも、私の自由でした。
 後者の自由を私は選びました。

 *

 私は自分に似ている相手を選びました。
 私たちのものの見方について喋りたいと思ったからです。
 私は敬愛する人を選びました。
 彼女のものの見方を身に付けたいと思っていたからです。共有しうるそれは、でも、私より遥かに先を行く憧れでした。まるで彼のように。
 私は書き始めました。

 彼女がその見方を(おそらく不本意ながらも)確信したときの、作中人物の下の名前を、25年後、私は私の出版社の名前にもらいました。清原なつの『早春物語』の主人公花岡数子です。





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