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一太郎礼賛 1 [謝辞]




 今はどうでもいいことですが、こんどの『読書入門+』では一太郎にお世話になりました。PCソフトにはどういう敬称をつけるものか分からないんですが、言わずと知れたジャストシステム(御中)のワープロソフトです。

 ま、今回に限らずおれはずっと一太郎を愛用してるのですが、けどまじ今回みたいな長文を書くときにはほんっとに助かります。もう相棒って感じ。おまえがいなけりゃおれはなんにもできないよ、とまでは言いませんが、こんなに役に立つ道具はない。よく切れる包丁みたいにどこまでも信頼できる(ちなみにカズノ、自炊です。ゴハンを自分でつくるほうね)。

 さてその道具ですが、前日、前々日とPCソフト=製作者にとっての道具の話が続きましたが、その締めはやっぱこれやろなってことで今日の記事になるわけです。司馬遼太郎の話を思い出しましょう。
 日本と欧米の道具観の違いは刀と銃によく表れている、というあれ。

 若いコなんかは知らないかも知れませんが、日本刀ていうのは、それを使いこなすまでけっこうな鍛錬が必要なものなんだったりします。鍛錬つまり練習とか体力づくりとか、どう扱うかをいちいち考えたりが必要になる。
 鍛錬を重ねて初めて日本刀を使いこなせる、つまり人を殺せるようになるってことですね。

 一方で、銃というのはこの鍛錬がいらないわけです。引き金さえ引ければ誰でも人を殺せる、これが銃の在り方だし、いえば思想なわけですね。でもってそういうものだから、そこで相手を殺してるのは、実際には人じゃなく銃なわけです。

 同じ考え方をすると、日本刀の思想とは、人を殺すのはあくまで人である(けして刀ではない)という考え方をしてるわけです。「人を殺すための鍛錬をしてきた人が、最大限にその能力を発揮できる道具」、それが日本刀なんだと。

 日本刀を使いこなすのになんで鍛錬が必要かというと、まず単純に、重すぎるからです。日本刀というのはものすごく重いんです(らしいんです)。それを振りまわすのには並大抵の腕力や筋力ではできない。だからまず体力がいる。両手で持っても重いし、片手だったらなおさらです(だから二刀流の宮本武蔵はものすごい腕力/筋力を持っていたと考えていいわけですが、ま、そんなことはともかく)。
 日本刀は世界一の切れ味を持った刃物ですが、じゃあそういうものだから誰でも人を殺せるかというと、そんなことはないということですね。まず体力が必要だし、それから正統な型も必要です。剣術の型です。世界一の切れ味を持った日本刀は、あまりに繊細にやいばを研ぎすませてあるので、刃こぼれしやすいんですね。だから、狙い通りに「きちんと」切りつけないと、とたんに刃がぼろぼろになっちゃうわけです。
 つまり日本刀とは、「きわめて繊細なやいばをもったものすごく重い刃物」で、そういうものだからこそ、ラノベ風の形容で言うと「裂帛の気合をもって振り下ろした」とき、すぱっと人が殺せちゃうわけです。そういうことなんです。
 でもって、そういう体力なり型なりをつくり、維持し、実践でも練習と同じことができるようにならないと、日本刀は使えないわけです。だからここには「剣術をする者としての考え方を学び、精神を鍛える鍛錬」も含まれる、ということになるわけです。
 だから逆に、そういう体力も型も精神性も持たない人、要は素人が日本刀を使っても、まず人は殺せないもんなんだったりします。(そういうもんみたいです)。

 *

 とまあちょっと話が大げさになりましたが、おれがこの司馬さんの間接授業(から勝手に自分でも考えた事柄↑を含めて)を、心底から「なるほどこのことを司馬さんは話してたのか」と実感できたのは、一太郎を使ったときなんです。正確には、「なんでWordってこんなに使いづらくて、一太郎はこんなに使いやすいのか」と考えていたときです。「日本と西洋との道具観の違い」。

 おれは実際にはジャストシステムさんのエンジニアさんと会ったことも話したこともないですけど、でもその設計思想は(勝手に)分かります。一太郎は、

・文章を書く人/作る人を補佐するための道具。その文章作成能力を最大限に引き出す道具

 なんです。そういう思想で作られている。一方でWordは、

・文章を書けない人、作れない人に、それでも文章を書かせ作らせるソフト

 なんです。同じことはInDesignにもいえて、これは、

・組版が出来ない人に、それでも組版をさせるソフト

 なんです。そういう方針で設計されている。

 そういう違いがあるわけですが、話し出したら長くなってしまった。「一太郎はいかに役に立つ『道具』か」にぜんぜん行き着かないので、えーと、タイトルに「1」の文字を入れて、これ連載にしてしまおう(ごめんよ)。




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